保育士の待遇改善などを求めて、東京都内でデモをする保育士ら=昨年11月、田渕紫織撮影
今春も多くの子が認可保育園に入れず、待機児童となりました。問題が解消されない大きな要因として、月給が全産業平均より約10万円低く、保育士が集まらないことが挙げられています。そのおおもととして、国が決める「子ども1人あたりにかかる保育の費用」が実態に合っていないとの指摘があります。
「専門性がある仕事なのに給料が見合わない」。関東地方の私立の認可保育園で働く女性(54)は、保育士歴20年以上。昨年やっと月給が手取りで20万円を超えた。園は保育士を3年募ったが応募はゼロ。今年、若手が辞めた。
東京都内の私立認可園を3年前に辞めた女性保育士(25)は、朝6時半から夜8時まで働き、事務作業を持ち帰った。月給は手取りで約16万円。「あと10万円は増えないと続かない」。勤務は2年間が限界だった。
厚生労働省の2017年の調査では、保育士の平均賃金は月22万9900円。全産業平均とは10万3900円の開きがあった。
公立園は公務員に準じた給料だが、認可保育園の7割弱を占める私立園は仕組みが異なる。私立園の給料の原資は、国が決める「公定価格」がベース。これに、利用する子ども数を掛け合わせた額が、委託費として園に支払われる。財源は公費と保護者が払う保育料だ。
安倍晋三首相は1月の施政方針演説で「これまで自公政権で、保育士の処遇を月額3万円相当改善してきた」と主張。確かにこの5年間で公定価格は約11%(月約3万5千円分)上がった。
ただ、そうした計算通りにはな…