米ワシントンの郊外のアンドルーズ空軍基地で10日未明、トランプ大統領(左)に出迎えられて政府の航空機から出てくる牧師のキム・ドンチョル氏(右から2人目)ら=AFP時事
北朝鮮から解放され、ワシントン郊外のアンドルーズ空軍基地に帰国した米国人3人を、真夜中の3時前にもかかわらず、トランプ大統領とメラニア夫人がそろって出迎えた。3人とともに駐機場のそばで国内外のメディアの取材を受けるなど、成果をアピールする狙いもあったとみられる。
米国人3人解放、米朝会談の環境整備か 非核化は深い溝
基地の滑走路には、3人の米国人を北朝鮮から取り戻したことをアピールしたいトランプ氏の思いを象徴するかのように、2台のはしご車が巨大な星条旗をつるしていた。
10日午前2時過ぎ(日本時間同日午後3時過ぎ)、トランプ大統領夫妻やペンス副大統領夫妻が乗った専用ヘリが次々と到着、北朝鮮から解放された米国人3人の帰国を待ち構えた。
まず、北朝鮮を訪問し、3人の解放や米朝首脳会談に関する調整を行ったポンペオ国務長官を乗せた航空機が到着。その後、午前2時40分ごろ、解放された3人を乗せた航空機が着陸した。機体は用意された巨大な星条旗の前にゆっくりと進んで止まった。
午前3時前、トランプ大統領とメラニア夫人がタラップを昇り、機内に。下ではペンス副大統領夫妻とポンペオ氏が待機した。
数分後、機内からトランプ氏が出てくると、続いて解放された3人が姿を現し、両手を挙げたり、ピースサインで手を振ったりした。周囲に集まった政府や軍関係者から歓声が上がり、トランプ氏も拍手や握手で祝福した。
3人は右手で手すりを使いながら、ゆっくりとタラップを降り、ペンス氏らと握手。その後、トランプ氏は3人らを引き連れるようにゆっくりと歩き、集まった記者団の前まで進んだ。
トランプ氏は並んだ3人の中央に立ち、「今夜は、この素晴らしい3人にとって特別な夜となった」と述べ、成果を強調。北朝鮮との関係について「我々の新しい関係が始まっている」と語り、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長をたたえた。
そして、最後にこう締めくくった。「本当に朝の早い時間だ。おそらく朝3時のテレビの視聴率としては、歴史上、最高記録を出したと思う」
トランプ氏のぶら下がり会見が終わった後、3人は用意されたバスに乗り、健康診断を受けるために、軍関連の病院に向かった。(アンドルーズ空軍基地〈メリーランド州〉=土佐茂生)