26日午後、南北首脳会談で握手する文在寅氏(左)と金正恩氏(韓国大統領府提供)
韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が26日、約1カ月ぶりに再び会談した。米朝首脳会談開催をめぐるトランプ米大統領の揺さぶりに動揺がみられた北朝鮮だが、朝鮮半島の平和を訴える韓国と、米朝対話が途絶えることへの危機感で一致したようだ。
韓国大統領府が会談の事実を公表したのは、会談が終わった3時間後の26日午後8時前。発表文の記載が正恩氏でなく、父の「金正日(キムジョンイル)」国務委員長と誤っていた。韓国側にとっても突然の会談だったようだ。
1カ月足らずでの異例の再会談。場所は同じ板門店だが、今回は韓国側ではなく北朝鮮側の施設。記念撮影で正恩氏は、前回と違って緊張した面持ちだった。ただ、会談の最後では一転して笑顔を見せ、文氏と抱き合った。
北朝鮮は、米政府が6月12日の米朝首脳会談を中止すると公表した半日後の25日朝、「いつでも、いかなる方式であっても対面して問題を解決する用意がある」とする金桂寛(キムゲグァン)第1外務次官の談話を出した。極めて短時間での対応。米韓関係筋は「北朝鮮の危機感がよく表れていた」と語る。
北朝鮮は国内メディアで、正恩氏が米朝首脳会談の開催に同意したと報じている。経済制裁や米軍による軍事的脅威もあり、簡単に米朝会談を中止できない状況に追い込まれていた。
北朝鮮は米側から「完全な非核化」を強く求められている。核兵器や核物質の国外への搬出や、すべての核貯蔵施設の公開、核技術者の海外移住など、米側が次々に繰り出す要求に不満を募らせていた。正恩氏は米韓会談を22日に終えたばかりの文氏から、トランプ氏の真意を確認しようとしたとみられる。
また、正恩氏は5月7日、中国…