廃油を集めて発電している「TOKYO油電力」の染谷ゆみ社長=東京都墨田区
電力販売の全面自由化から2年が経ち、ユニークな電力サービスを提供する企業が生まれてきている。環境問題の解決につなげようと廃油を集めて発電したり、特定の学校や業界を応援する電気の売り方をしたり。自由化後、都市部を中心に価格競争が激しくなるなか、価格以外の価値を探ろうとしている。
「東京は大きな油田なんです」。こう話すのは、TOKYO油電力の染谷ゆみ社長だ。家庭で捨てられる食用油で電気をつくっている。廃油の環境問題を解決したいと事業を始めた。
首都圏中心にスーパーや公共施設など500カ所に食用油の回収場所を設置しており、1日に20~30トンの油が集まるという。集めた油は群馬県にある出力145キロワットの発電機の燃料となる。現在は首都圏で電気を売り、価格は東京電力より3~5%ほど安い。個人だけでなく、油を多く使う中華料理店などとも契約している。
年内には500キロワットの新しい発電機を導入する予定で、2万件の契約を目指す。染谷社長は「電気だけでなく、捨てようと思ったものがエネルギーになるわくわく感を買って欲しい」と話す。
電気を買えば学校がきれいになる――。みんな電力(東京)が始めたのは、校舎にある太陽光パネルで発電した電気を売る「学校応援でんき」だ。3月から大阪府高槻市の公立小中学校3校で発電した電気を売っている。
ここの電気を買えば、売り上げの一部は市に寄付され、校舎改修や備品の購入費に充てられるという。「母校を応援したい人は多いはず」(広報)と、今後対象校を広げていく方針。電気を買うとアイドルと握手できたり、プロレスの試合を見られたりするサービスも検討中だ。
パン屋向けの業界誌を手がけ、…