イタリアのマッタレッラ大統領から次期首相に指名され、組閣作業を進めていたフィレンツェ大教授のジュゼッペ・コンテ氏が27日、指名を返上すると表明した。コンテ氏は経済相に反欧州連合(EU)強硬派のサボーナ元産業相を提案したが、閣僚の任命権を持つマッタレッラ氏がこの人事を認めず、折り合うことができなかった。
コンテ氏は27日夜、マッタレッラ氏と会談し、閣僚リストを提出。経済相に反EUでユーロ離脱を主張するサボーナ氏をあてたが、マッタレッラ氏が拒否した。会談後、マッタレッラ氏は「経済相候補に同意できなかった。(サボーナ氏が経済相になれば)国民の貯蓄や財産を危険にさらす」と説明した。
コンテ氏の指名返上を受けて、マッタレッラ氏は28日にも、国際通貨基金(IMF)で財務局長を務めたカルロ・コッタレッリ氏を次期首相に指名し、組閣を命じる見通し。コッタレッリ氏は緊縮財政を求めるEUと協調する路線を主張してきた。
ただ、新内閣が成立するには、上下両院でそれぞれ投票者の過半数の賛成で信任されなければならない。
今年3月の上下両院の選挙で、「脱既存政治」を掲げて両院で第1党になった「五つ星運動」と、その連立相手の右派政党「同盟」は、緊縮財政を求めるEUに懐疑的で、コンテ氏を推薦した経緯がある。コッタレッリ氏の内閣に信任票を投じない可能性が高く、新内閣が成立しなければ再選挙となる可能性もある。
イタリアでは3月の上下両院選挙で過半数の議席を得た党派がなく、連立協議が難航。5月になって五つ星運動と同盟が連立政権をつくることで合意した。現地メディアによると、両党の党首は27日午後、マッタレッラ氏と会談したが、物別れに終わっていた。(ローマ=河原田慎一)