初戦を突破したセリーナ・ウィリアムズ=ロイター
テニスの全仏オープンは29日、第3日がパリのローランギャロスで行われ、女子シングルス1回戦で昨秋の出産後、初めての4大大会参戦となった元世界ランキング1位のセリーナ・ウィリアムズ(米)がクリスティナ・プリスコバ(チェコ)を7―6、6―4で破り、4大大会では優勝した17年全豪以来の勝利を飾った。男子ダブルス1回戦では西岡良仁(ミキハウス)、杉田祐一(三菱電機)組がオランダのペアに1―6、2―6で敗れた。
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1年4カ月ぶりに4大大会で勝った36歳のセリーナが記者会見で吐露した。
「私の年齢で出産を経験してから復帰するのは、肉体的に楽じゃない」
この日、センターコートの観客を釘付けにしたのは、体のラインが強調される全身黒のウェアだった。記者会見で着用の理由を聞かれ、「女戦士というか、あこがれのスーパーヒーローになった気分」とジョークにくるんだが、実は機能面の理由もあったことを明かした。「血栓の問題を抱えていたから、血液の循環を良くするためもある」
長女オリンピアちゃんを出産したのは昨年9月。子を持つ男子選手との違いを聞かれ、「実際に長い間、授乳しているから、より密な関係を感じる」。
プレーぶりは、時速200キロを超す高速サーブと豪打で相手をなぎ倒した全盛期とは違う。サービスエースは相手より2本少ない13本。「強く打つより、コースを狙うことを優先したから」とは本人の弁だ。
一方、9回以上ラリーが続いたポイントの8割をものにする我慢強さで、ストレート勝ちをたぐり寄せた。
「すべての面で改善の余地はある。それが素晴らしいことだし、喜びでもある」。4大大会で23度の優勝を誇る元女王は、復活へのプロセスを楽しめている。(稲垣康介)