連休明け29日の米ニューヨーク株式市場では、イタリアなど欧州政治の不透明感から、大企業でつくるダウ工業株平均が大幅続落し、前週末比の下げ幅は一時、500ドルを超えた。終値は同391・64ドル(1・58%)安い2万4361・45ドルだった。
イタリアでは3月の総選挙後、親EU(欧州連合)派と反EU派で組閣をめぐる混乱が続いてきた。28日に新首相が指名されたが安定政権は望めず、秋にも再選挙となる見込み。スペインでもラホイ首相に不信任決議案が出るなど南欧の政治不安が強まった。
市場ではリスクを避けようとする動きが広がった。相対的に安全資産とされる米国債が買われて米長期金利が低下。利ざやが減るとの見方などからJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスなど金融株が大きく売られた。
米トランプ政権が29日、知的財産侵害を理由にした中国への制裁関税発動に向けた動きを見せ、米中貿易摩擦への懸念が再燃したことも相場の重しになった。
ハイテク株が中心のナスダック市場の総合指数も下落し、前週末比37・26ポイント(0・50%)低い7396・59で終えた。
29日のニューヨーク外国為替市場ではドルを売って円を買う動きが強まり、円相場は1ドル=108円12銭まで円高が進む場面があった。午後5時(日本時間30日午前6時)では1ドル=108円70~80銭で、前週末同時刻よりも60銭の円高ドル安。(ニューヨーク=江渕崇)