マティス米国防長官は30日、ハワイ州パールハーバーでの太平洋軍司令官交代式典で演説し、在日米軍を傘下に抱える太平洋軍(司令部・ハワイ)を「インド太平洋軍」に改名すると発表した。トランプ政権が駐韓大使に指名したハリー・ハリス前司令官に代わり、フィリップ・デービッドソン海軍大将が新司令官に就任した。
マティス氏は演説で「太平洋とインド洋にわたる同盟国や友好国との関係は、同地域の安定を維持する上で極めて重要だ」と強調。「インド洋と太平洋の連結性が高まっていることから、インド太平洋軍に改名する」と宣言した。
トランプ政権は昨年、中国が南シナ海の軍事拠点化やシルクロード経済圏構想「一帯一路」を進めているのに対抗するため、日本やインド、豪州とともに「自由で開かれたインド太平洋構想」を推進する考えを打ち出している。今回の改名も、こうした方針に沿ったものとみられる。
太平洋軍は1947年に発足。太平洋から東アジア、東南アジア、オセアニア、南アジア、インド洋までを担当し、日本や韓国などに駐留する米軍を指揮下に持つ。(ワシントン=土佐茂生)
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米ハワイを訪問中の小野寺五典防衛相は30日午前(日本時間31日午前)、日本の防衛相として初めて米太平洋軍司令官の交代式に出席した。小野寺氏は終了後、マティス米国防長官が発表した「インド太平洋軍」への改名について「(米国が)中国を含めた地域の安全保障に高い関心を払っていることの表れだ」と評価した。記者団の取材に応じた。
小野寺氏は「インドと太平洋、その間には南シナ海もある。この地域に米国がしっかりとしたプレゼンスを示す意思の表れだ」と語り、海洋安全保障分野の日米連携を強める考えを示した。(ホノルル=藤原慎一)