オンラインゲームに熱中する人たち(写真は本文とは関係ありません)
学校にはない居場所が、ゲームの中にはあった――。東京都の無職男性(24)はゲーム依存症に陥り、1日12時間のゲーム漬け生活から抜け出せなくなった。7年間続いたが、ひょんなことから回復に向かい始めた。何がきっかけだったのか――。
「オンラインゲームの中にもう一つの社会があった。その中の人間関係から抜け出せず、深みにはまってしまった……」。男性には、日本で初めてネット依存外来を開いた国立病院機構・久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)で話を聞いた。親に連れられて来院し、3年前に治療の必要ありとの診断を受けてから、ずっと通っている。記者と向き合い、とつとつと過去を語ってくれた。
「プレイステーション3」のオンラインゲームを始めたのは、高校2年だった2011年ごろ。学校では勉強についていけず、クラスの友だちともなじめなかった。文化系の部活で友人同士のいざこざに巻き込まれたのを機に、学校を休みがちになった。家にいてもやることがなく、行き着いたのがゲームだった。
オンラインゲームでは、SNSなどを通じて知り合った人を「仲間」として登録できる。プレー中の仲間は画面上に表示され、メッセージのやりとりができる。
「ゲーム仲間とは私的なことは話さず、ゲームを一緒に楽しむだけだったので、ちょうどいい距離感で関係を保てた」
戦場を舞台にしたオンラインゲームは16人対16人で対戦。人数が多いだけに、お互いの連携が重要だった。
「敵があそこに立てこもっている」「自分の乗り物が攻め込まれている」
無料通話アプリで戦況を逐一報告し、ドキドキしながら勝利を目指した。ゲームを続けるにつれ、ゲーム内での「称号」のランクも上がり、仲間から称賛の言葉をもらった。自分を認められた気がして、「恥ずかしくもあり、うれしくもあった」
■居場所を失うの…