「見た目は可愛いが実は怖い一面がある」というプロットで作った4コマ漫画。一般的な構成(右)と出オチ(左)の二つのシナリオで描かれている=(C)作画 浦田カズヒロ(シナリオ (株)スポマ・播村早紀/豊橋技術科学大学・上野未貴)
人工知能(AI)が4コマ漫画を学んでいる。最終的にはAIが作品を生み出すことも視野に入れた研究だが、現時点では漫画初心者。そんなAIが教材にするのは、研究者と漫画家、漫画制作会社が協力してつくった「研究室あるある」のオリジナル作品だ。
主な登場人物は2人。研究室に所属する先輩の女子学生と後輩の男子学生だ。「学生時代から周囲を見てアイデアをためていました」と豊橋技術科学大(愛知県豊橋市)の上野未貴助教(30)は話す。
感性情報が専門の上野助教は、AIによる創作支援の研究を続けてきた。その過程で、ストーリーがあり、限られたコマの中に情報が集約されている4コマ漫画がAIの「学習」に有効では、と考えた。
画像として取り込んだコマをAIに解析させ、「そのコマは何コマ目か」「オチの4コマ目から読み取れる感情は何か」を学ばせる研究で論文を発表した。既存の漫画を使用し、1コマ目か4コマ目かを7割近い確率で当てられるようになった。
ただ、AIが4コマ漫画を学ぶには、研究に使える作品が足りないことが問題だった。コマをバラバラに解析するため、「4コマでひとつの作品」と考える作者から理解を得にくい。既存の漫画では、作者が伝えようとしたテーマが何かを正確にAIに教えることも難しい。
そこで、上野助教はオリジナル作品の制作を考えた。AIが解析する教材として有効なのは「ストーリー4コマ漫画」。登場人物が限られ、物語があることを重視した。まず、上野助教がプロット(筋)を作成。制作会社の編集者と協力してセリフを盛り込んだシナリオにし、漫画家が4コマで表現する。「作品に込めた作者の意図が初めからはっきりしていることが研究で使う上で有効です」という。
4コマにはいくつかのパターン…