様々な風呂おけが並ぶ「あいち銭湯資料館」=名古屋市中区千代田3丁目
レトロな銭湯ワールドに足を運んでみませんか――。名古屋市中区千代田3丁目の県公衆浴場業生活衛生同業組合の2階に、全国でも珍しい「あいち銭湯資料館」がある。実際に使われていた番台やマッサージ機、ケロリンおけなどが所狭しと並び、庶民の社交場でもあった銭湯の歴史と楽しさがいっぱい詰まっている。
入り口に、半世紀以上使われていたげた箱がある。階段を上って「ゆ」ののれんをくぐると、昨年9月に閉店した「喜乃湯」(名古屋市昭和区)の木製の番台が置かれている。小さな机の上に緊急時を知らせる鐘や五つ玉のそろばん、シャンプーなどが入った棚などが並び、往時をしのばせる。
組合設立60周年を記念して、昨年12月にオープンした。組合員から寄せられたり、廃業した銭湯から引き取ったりした道具約80点を、25畳ほどの和室に展示する。なかには、藤子不二雄さんのアニメキャラクター「ウルトラB」の子ども用シャンプーや、雨の日に貸し出された番傘といった珍しいものもある。
組合によると、県内の銭湯は1964年の816軒をピークに減り続け、昨年末時点で営業しているのは97軒。住環境や生活様式の変化、設備の老朽化、後継者不足などで減少に歯止めがかからない。
こうした中、日本の伝統的な入浴文化の銭湯の良さを再認識してもらい、後世に伝えるために資料館を整備したという。組合の鈴木聡事務長は「銭湯を懐かしく思い出してもらうとともに、入りにくいという若い人たちが足を運ぶきっかけになれば」と話す。
入場無料で、開館は午前10時~午後4時。日曜・祝日と年末年始は休館。問い合わせは同組合(052・322・5735)へ。(松永佳伸)
9湯で「温泉シールラリー」実施中 名古屋・春日井
名古屋市と春日井市の九つの銭湯が、温泉シールラリー「愛知ゆらん」を、9月末まで開催している。
春日井温泉(春日井市)は天然温泉など14種類が楽しめる。富美の湯(名古屋市昭和区)は植物に囲まれた露天風呂から眺める滝とヒノキの大浴槽が人気。国内最古のあんま機など昭和の風情が感じられる娯楽湯(同市千種区)などが参加する。
三つの銭湯のシールを専用の台紙に貼って応募すると、1万円分の旅行券や入浴券5枚などが当たる。応募締め切りは10月5日。問い合わせは「エーピー」(0575・28・6314)。