リンさんが両親あてに書いた手紙
千葉県松戸市の市立小学校3年でベトナム国籍のレェ・ティ・ニャット・リンさん(当時9)が殺害された事件で、殺人や強制わいせつ致死などの罪で起訴された同小の元保護者会長、渋谷恭正被告(47)の裁判員裁判が4日、千葉地裁で始まる。「どうして事件が起きたのか。真実を示してほしい」。リンさんの父親レェ・アイン・ハオさん(35)は初公判を前に千葉県松戸市の自宅で取材に応じ、声を絞り出した。
リンさん殺害事件、4日に初公判 被告は起訴内容否認か
「行ってきます!」。元気よく家を出るリンさんを見送ったあの日から約1年2カ月、ハオさんの時間は止まったままだ。「渋谷被告が起訴されてから、何の情報も入ってこない」。事件のショックで、今も仕事に復帰できていない。「真実が知りたい」と、年明けからJR千葉駅や上野駅前で、裁判の早期開始などを求める署名を集めていた。
「おとうさん、いつもおしごとでいそがしいけどがんばって(中略)ありがとう」「おかあさん、いつもごはんをたいていろんなおかずを(中略)ありがとう」。祭壇には、リンさんが学校で書いた両親への手紙や絵日記をまとめた冊子を大切に飾っている。
色鮮やかなクレヨン画、家族で行った上野動物園の思い出……。「3年生になって」と題した文章には「さんすうをがんばりたい、国語をもっとがんばりたい。かん字をがんばりたい」と意欲的な目標が並ぶ。「涙が止まらなかった」とハオさん。事件が忘れられないようにと、内容をホームページで公開した。
ハオさんは被害者参加制度を利用し、自らも法廷で証言台に立つ予定だ。「とても不安で自分には何もできない。真実が見えるようにお願いしたい」とうつむきながら訴えた。(寺沢知海)