「第九」を熱唱する大合唱団の前で演奏する「とくしま記念オーケストラ」=2016年1月、徳島市内
オーケストラに演奏家を手配して得た手数料など約1億3千万円の所得を申告せず、約3千万円を脱税したとして、東京国税局が音楽プロデュース会社「アンサンブル・セシリア」(東京都渋谷区)と同社の川岸美奈子代表(57)を法人税法違反の疑いで東京地検に告発したことがわかった。同社はすでに期限後申告に応じ、納税しているという。
関係者によると、同社が主に演奏家を手配していたのは、徳島県が設立した「とくしま記念オーケストラ」。演奏会ごとにプロの演奏家らを招集して編成している。
関係者によると、同社は2016年7月期までの3年間、県の外郭団体などが主催するクラシックコンサートなどの際、演奏家を手配して手数料を得ていたのに、所得をまったく申告せず、法人税を免れた疑いがある。同社は帳簿を作らず、資金は法人名義の口座に預金として残していたという。1990年の会社設立以来、申告をしていなかったとみられる。
川岸代表の代理人は取材に、「1人で仕事をやっていたので経理に手が回らずどんぶり勘定だった。『怠慢で申し訳ない』と反省している」などと話した。