「ホテルインディゴ 犬山 有楽苑」の完成予想図=名古屋鉄道提供
名古屋鉄道は、名鉄犬山ホテル(愛知県犬山市)の営業を来年8月で終えると発表した。老朽化しているためで、建物は解体する。英インターコンチネンタルホテルズグループと提携し、2021年度後半をメドに「ホテルインディゴ 犬山 有楽苑(うらくえん)」を開業する。
国宝犬山城を望む名鉄犬山ホテルは、1965(昭和40)年に開業した。計123室。格式が高く、敷地内には織田信長の実弟、有楽斎がつくった国宝の茶室「如庵(じょあん)」がある。中部の有力企業幹部が一堂に会するセミナーが毎年開かれ、地元の財界御用達のホテルとしても知られる。
ただ、建築から50年余りが過ぎた建物は老朽化が進み、建て替えが課題だった。昨年3月には、愛知県が公表した耐震診断で「震度6強以上で倒壊の危険性が高い」と診断された。
そのため、名鉄は建て替えを決定。訪日外国人需要を取り込むねらいもあって、外資系ホテル運営会社と提携することになった。再開発の事業費は未定。
新たに開業するホテルは150室程度で、レストランや宴会場、スパを備える。客室単価は今より高くなる見通し。名鉄が建物を所有し、運営は日本国内でインターコンチネンタルなどを手がける「IHG・ANA・ホテルズグループジャパン」(東京)に委託する。
インディゴブランドのホテルは、19年開業予定の箱根に続き、日本で2件目となる。地域の文化や歴史をホテル経営に反映させる方針。名鉄の安藤隆司社長は4日、名古屋市内で記者会見し、「国宝に囲まれる魅力を最大限に引き出すのが目標だ。犬山の持つ可能性は国際的にも通じる。(外資系との)提携で海外の人にも喜んでもらえる」と話した。(友田雄大)