7月31日は、ハリーポッターとその作者・ J・K・ローリングさんの誕生日だ。そのファンタジーの世界において、少年ハリーポッターの誕生日は1980年7月31日と設定されているため、彼は今年40歳になったことになる。赤ん坊のころに両親を亡くし、伯母夫婦に引き取られ、狭い部屋で孤独な日々を過ごしていたハリーポッターが魔法界へ行くエピソードを描く小説第1巻「ハリーポッターと賢者の石」が1997年に刊行されて今年で23年になる。2000年10月から、「ハリーポッターと賢者の石」、「ハリーポッターと秘密の部屋」、「ハリーポッターとアズカバンの囚人」の中国語(簡体字)版が刊行された。つまり、中国の読者がハリーポッターに出会ってから丸20年を迎えたことになる。20年という長い年月をかけて、ハリーポッターは一時代を築き、多くの人の共通の思い出となっている。
人民文学出版社はこのほど、中国語版出版20周年を記念して、ホグワーツ魔法魔術学校の各寮のシンボルをモチーフにした新装版の「ハリー・ポッターと賢者の石」を発売した。「グリフィンドール」版、「ハッフルパフ」版、「レイブンクロー」版、「スリザリン」版がある。4つのバージョン全ての中国語訳は、最新の改訂版となっている。さらに、それぞれの寮の創始者や著名な学生、有名な卒業生、寮監、ゴーストの紹介など、新しい内容が付録として付いている。カバーのデザインは、英国の20周年記念版と全く同じで、ソフトタッチの表紙の一部の文字は金色で、UV、凸印刷などの技術も駆使されている。そして、どのバージョンも天、地、小口がそれぞれの寮のシンボルカラーとなっている。
20周年記念版「ハリーポッターと賢者の石」
人民文学出版社によると、今年刊行される「ハリーポッター」関連の作品には、オリジナルカバーの全20種類、英・中対照版全7種類、「ハリーポッター:映画キャラクターブック」(計4冊)、「ホグワーツ魔法魔術学校学年度ガイド」、さらに、「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」、「クィディッチ今昔」、「吟遊詩人ビードルの物語」のカラー絵本、「レイブンクローとハッフルパフの寮メモ」、「ホグワーツ魔法魔術学校の秘密捜しガイド」、「ハリーポッター・ポップアップ・クリスマスブック」などがある。
その他、JKローリングさんの新作童話「The Ickabog」の中国語版が11月に、人民文学出版社から出版される。「The Ickabog」はハリーポッターシリーズとは無関係で、独立したファンタジー作品。J・K・ローリングさんの作品でよく見られる、陰謀や冒険、正義などがテーマとなっており、ユーモアとサスペンスのムードが漂う世界観となっている。
専門家「ハリーポッターのファンタジーは現実世界から生まれている」
北京大学の中文学部教授で、中国教育部(省)が直接編集に携わる小中高校の語文(国語)教科書の総編集長を務める温儒敏氏は、ハリーポッターの文化的現象について、「ストーリー自体が、素晴らしい児童文学だ。まず、ストーリーの要素が、子供たちの想像力を掻き立てる。ハリーポッターシリーズはその点で素晴らしい。同シリーズの作品は非常に多く、完読するのは簡単ではない。にもかかわらず、たくさんの子供たちが楽しみながら読んで、完読している。それは、ハリーポッターのファンタジーの世界が、現実の世界から生まれ、現実とうまく融合しているからだ。ファンタジーの世界であるにもかかわらず、ストーリーは合理的で、リアリティというのがこの作品ならではの特別な魅力」と説明した。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年8月4日