三菱マテリアルの品質不正の経緯
子会社による品質データの改ざんが相次いだ非鉄金属大手の三菱マテリアルで、本社がかかわる不正が初めて発覚した。これまで本社は不正に全く関与していないと説明し、3月に一連の問題の最終報告書を発表。竹内章社長ら役員の減給処分も公表したが、説明の前提が大きく崩れた形だ。最終報告書の公表時点で本社の不正の疑いを把握していたことも明らかになり、「不正隠し」に批判が高まるのは必至だ。
三菱マテ本社が不正隠し JIS逸脱製品の出荷公表せず
三菱マテは3月28日に公表した最終報告書で、改ざんは子会社5社で1970年代から続き、不正があった製品の出荷先はのべ825社にのぼるとの調査結果を明らかにした。アルミや銅製品の品質データ改ざんを巡り、東京地検特捜部などの捜索を受けた神戸製鋼所で製品の不正が確認された出荷先(のべ688社)を上回る規模だが、竹内氏はこの日の記者会見で「グループ全体が不正体質ではない」と明言。本社の関与を改めて否定していた。
三菱マテは改ざんがあった子会社5社のうち、三菱電線工業(東京)とダイヤメット(新潟市)の社長は引責辞任させたが、本社の役員については、竹内社長と矢尾宏会長を月額報酬3カ月分の返上とするなど減給処分にとどめた。
3月28日の会見では報道陣から、神鋼の川崎博也会長兼社長(当時)が引責辞任することを引き合いに処分の軽さを疑問視する質問が相次いだが、竹内氏は「総合的な判断」「二度と起こさないようにするのが私と経営陣の責務」と述べるにとどめた。
だが、三菱マテはこの時点で本…