消費者契約法改正の主なポイント
悪質商法による若者の消費者被害を救済することを主な目的とした、消費者契約法の改正案が8日、参院本会議で採決され、可決した。来年6月に施行される。
消費者契約法は不当な勧誘による契約を取り消せることなどを定めている。今回の改正では、就職や容姿などについて不安をあおることや、恋愛感情を悪用した「デート商法」を不当な勧誘と定め、契約を取り消せるようにする。
この二つの勧誘によって結ばされた契約を取り消すには、学歴や結婚、資産管理といった「社会生活上の経験が乏しい」ことが要件になっている。
「社会生活上の経験が乏しい」という要件をつけると、若者しか救済対象にならなくなる恐れがあるという消費者団体の指摘に対し、政府は「年齢によって定まるものではない」(福井照消費者相)とし、中高年も該当しうるという考えを示している。
消費者庁は今後、どのような事例が該当するのか、解説する資料を作り、施行までに公表する予定。
今国会では、成人年齢を18歳に引き下げる民法改正案も審議されており、若者の消費者被害も議論されている。民法では保護者らが同意していない未成年者の契約は、原則取り消せる規定がある。成人年齢が引き下げられれば、18、19歳はこの規定の対象から外れ、悪質商法につけ込まれる恐れがある。こうしたことも念頭に消費者契約法を改正する。
消費者庁によると、就職セミナーやモデルの養成講座、エステなど若い世代の「願望」に関連するサービス・商品に関し、20代の相談件数は、2016年度に6928件あり、12年度よりも約24%増えている。(滝沢卓)