会議に臨む(右手前から反時計回りに)安倍晋三首相、マクロン仏大統領、トルドー加首相、トランプ米大統領、メルケル独首相、メイ英首相、トゥスクEU首脳会議常任議長、ユンケル欧州委員長、コンテ伊首相=8日、カナダ・シャルルボワ、岩下毅撮影
カナダのシャルルボワで開かれている主要7カ国首脳会議(G7サミット)では初日となった8日、米国の保護主義的な通商政策をめぐり、トランプ米大統領と6カ国の首脳との応酬が続いた。米国と6カ国との立場の隔たりは大きく、通常は閉幕とともに出る共同声明の文言のとりまとめで難航も予想される。
「ジャスティンは、すべての関税撤廃に同意してくれた。とても満足だ」。トランプ氏は8日、カナダのトルドー首相との会談の冒頭、ファーストネームで呼び、ジョークを飛ばして笑いを誘った。カナダ政府高官によると、会談で両首脳は、米国が打ち出した鉄鋼・アルミ製品への関税措置や、難航が続く北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉をめぐり、予定より長く議論。トルドー氏は関税措置への「断固とした懸念を繰り返した」という。
8日あった経済問題を取り扱うセッションでは、米国の鉄鋼・アルミ製品への高関税措置や、NAFTA再交渉、世界貿易機関(WTO)をめぐる課題などについて、具体的に意見が交わされた。カナダ政府によると、米国の高関税措置に「率直なやりとり」があり、「各首脳が自らの立場を表明した」。日本政府によると安倍晋三首相は「G7が貿易制限措置の応酬に明け暮れることは、どの国の利益にもならない」などと主張した。
共同声明のとりまとめは難航が予想され、カナダのフリーランド外相は、ジェンダー問題などを盛り込み、民主主義の重要性をうたった宣言文書を出すことも検討していることを明らかにした。
一方、開幕に先立って欧州連合(EU)の英独仏伊の4カ国の首脳らは8日午前、通商問題などで対立する米国への足並みをそろえるために会合を開いた。メルケル独首相が、米国とEU間で通商問題を話し合う新たな対話メカニズムを提案し、マクロン仏大統領らも支持したという。(ケベックシティー〈カナダ東部〉=青山直篤、久保智)