2連覇を目指すドイツ。守護神ノイアーがゴールを守る=ロイター
ドイツはブラジル(1958年、62年)以来56年ぶりとなるワールドカップ(W杯)連覇が可能か。それとも、ブラジルが自国開催で4位に終わった前回の雪辱を果たせるのか。FWメッシはアルゼンチンを優勝に導けるか。優勝争いだけでも、W杯の見どころは多い。14日(日本時間15日午前0時)の開幕を前に、4年に1度のサッカーの祭典の行方を占った。
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優勝候補の筆頭は、前回覇者のドイツだ。選手層の厚さは別格。GKノイアーの控えは、スペイン1部バルセロナで活躍するGKテアステーゲンで、前回W杯決勝で決勝点を奪ったMFゲッツェが不調のため、代表落ちするほどだ。「今のドイツは2番手、3番手の選手でも欧州チャンピオンズリーグを戦うトップクラブで先発で出ている」。昨年10月、試合後にDFリューディガーが自信に満ちて言い切った言葉が印象に残っている。
予選突破後の親善試合では不調が続く。それでもこれといった欠点は見当たらない。代表は練習時間が短く、チーム作りがままならないのが一般的だ。ドイツはレーウ監督がコーチ時代も含めると、チームを率いるのは14年間にのぼり、戦い方は浸透している。攻撃の中心は、W杯通算10得点のMFミュラーが担う。守備陣を中心に代表選手の7人がドイツ1部リーグの名門バイエルン・ミュンヘンに所属しており、連係面で不安がない。
2番手につけるのは、前回大会でともに惨敗に終わったブラジルとスペイン。ブラジルは予選中の監督交代劇が功を奏した。ブラジルらしい華麗さには欠けるが、チチ監督が選んだMFカゼミロを中心とした中盤の3人は強固だ。きっちり守備ができ、チームを安定させた。FWガブリエルジェズスやMFコウチーニョが成長し、FWネイマールの負担を減らせるのも大きい。
16年に就任したスペインのロペテギ監督は年代別監督を率い、現在の代表選手の大半を若い頃から知っているのが強みだ。スペインは各年代で一貫してきっちりパスを回すサッカーを続けており、ロペテギ監督のスタイルは各選手にしみこんでいると言っていい。守備陣が安定しているだけに、攻撃がかみ合えば優勝の可能性は高まる。
爆発力を秘めるのは、アルゼンチンとフランス。アルゼンチンはFWの選手層が極端に厚い一方、守備陣は心もとない。準優勝した前回同様、メッシの獅子奮迅の活躍が欠かせない。一方のフランスは、FWエムバペ、MFポグバら若手が次々と台頭し、選手の潜在能力はドイツを上回る。若手が多いだけに粗削りで空回りすることも少なくない。1次リーグで自信をつけたい。
ダークホースの存在が大会を彩る。前回もコスタリカの8強入りは世界を驚かせた。今大会で大物食いの予感がするのは、スウェーデンだ。身長の高さ、体の大きさを生かした堅守のサッカーはどこのチームも崩すのに苦労するはずだ。予選ではオランダ、イタリアに競り勝ち、強豪にひるまない。16年欧州選手権で8強入りしたアイスランドに似た雰囲気がある。
南米からはペルーが興味深い。ドーピング問題があった大ベテランFWゲレロも出場可能になった。9大会ぶりの出場に国民の後押しも大きい。2大会連続で南米の5チームが決勝トーナメントに進んでいるだけに、サプライズを起こしてもおかしくない。(河野正樹)