住宅地を歩くシカの群れ(2月16日未明、京都市左京区上高野、読者提供)
京都の市街地に、シカが頻繁に現れている。食害防止の目的で昨年度、市内で捕獲されたのは1108頭で、その5年前(268頭)の4倍超。今年4月にはバイクとぶつかり、男性が死亡する事故も起きた。山中のえさが減り、草を求めて街に下りてきたとみられている。
京都市北区の世界遺産・上賀茂神社近くで4月6日未明、新聞配達中の原付きバイクの男性(69)が倒れているのが見つかった。そばでシカがうずくまり、まもなく起き上がって立ち去ったのを通行人が目撃。バイクにはシカの体毛が挟まっており、衝突したとみられる。男性は頭を強く打っており、翌朝死亡した。
京都市によると、市内での捕獲は山間部が7割、市街地が3割ほど。市街地でも山間部でも個体数が増えたとみられ、2016年度の生息数は、10年前の1・7倍の1万4千頭と推定する。京都府の担当者は「耕作放棄された田畑が増え、林業も衰退したことで、シカが山里で安心して暮らせるようになったことが大きい」とみる。
市街地に現れるのは暗い時間帯。京都市左京区で新聞販売所を営む男性(46)は朝刊を届ける作業の際、冬以外はほぼ毎日、冬でも週の半分くらいシカを見かけるといい「近づいても、クラクションを鳴らしても、ぎりぎりまで逃げない」とため息をつく。
餌づけされすみ着いた場所もあ…