佃弘巳・前伊東市長
静岡県伊東市の土地取引を巡り、土地の所有者側から現金約1千万円を受け取ったとされる佃弘巳・前市長(71)が警視庁の任意の調べに「貸した金を返してもらっただけだ」などと説明していたことが捜査関係者への取材でわかった。同庁は周辺捜査から賄賂の疑いが強いとみており、収賄容疑で逮捕状を取った。
捜査関係者によると、問題の土地は「伊東マンダリン岡本ホテル」の跡地約4千平方メートル。市内の土木建築会社が2014年10月に競売で約4800万円で取得し、市が15年7月に約2億500万円で購入した。佃前市長はこの取引で便宜を図った見返りとして、仲介役を通じて土木建築会社の役員(47)から現金約1千万円を受け取った疑いが持たれている。
佃前市長は警視庁にこの金について「過去に仲介役に貸した金を返してもらっただけだ」などと説明。一方、仲介役は貸し借りを否定する趣旨の話をしているという。同庁は仲介役と土木建築会社役員についても、それぞれ収賄と贈賄容疑で逮捕状を取っている。
この土地は市が「生涯学習施設建設用地」として購入したが、現在は更地で、近くの図書館などの仮設駐車場として使われている。
佃前市長は市議や県議を経て、05年5月~17年5月まで市長を3期務めた。同年8月から今年3月までは市の「特別顧問」にも就いていた。