シンガポール・セントーサ島のカペラホテルで12日に開かれた米朝首脳会談の後で、文書に署名するトランプ米大統領(右から2人目)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(左から2人目)=ロイター
北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が、シンガポールで行われた米朝首脳会談で、日朝首脳会談を行う考えをトランプ米大統領に示していたことが分かった。ソウルの情報関係筋が14日、明らかにした。数カ月以内に首脳会談を開くことも想定して準備を始めている模様だ。
拉致解決へ「直接向き合う」 首相、日朝会談実現に意欲
同筋によれば、12日の米朝首脳会談でトランプ氏は日本人拉致問題などを取り上げた。そのうえで、日朝首脳会談を念頭に、「日本とも対話すべきだ」と強く正恩氏に促したという。
これに対して正恩氏は「日本とも対話を進めたい」と応じたという。会談の具体的な議題や時期について言及したかどうかは、現時点では明らかになっていない。ただ、正恩氏は、これまで北朝鮮が拉致問題に言及する際に繰り返してきた「解決済み」という考えは示さなかったという。
複数の北朝鮮関係筋によれば、北朝鮮は、最速で1カ月後に日朝首脳会談を行うことも想定しているとみられる。9月11~13日にロシアのウラジオストクで開かれる東方経済フォーラムが会談場所となる可能性についても、関係者の間では上がっている。ロシアのプーチン大統領は正恩氏に、フォーラムに合わせてロシアを公式訪問するよう要請している。この機会を利用し、日朝首脳会談を模索することも考えられる。(ソウル=牧野愛博)