米ニューヨーク州の司法当局は14日、トランプ大統領が関与していた「トランプ財団」が2016年の大統領選に違法に関わっていたなどとして、財団やトランプ氏らを相手取り、財団の解散と280万ドル(3億円)の賠償などを求めて州裁判所に提訴した。
訴状などは、財団は慈善団体で政治活動が禁じられているにもかかわらず2016年、アイオワ州で大統領選で活用する目的で280万ドル超の資金集めに関与したと指摘。州法に違反する形で当時のルワンドウスキ選挙運動本部長らが集まった資金の寄付先について時期や金額を指示していたという。同州は全米最初の党員集会が開かれる注目州として知られる。
また、財団は資金の不正流用も繰り返していたという。トランプ氏のリゾート施設が訴えられた訴訟の和解金10万ドルや、ゴルフ場関連の訴訟の和解金15万8千ドルが含まれる。トランプ氏の肖像画の購入資金1万ドルも財団から出ていたという。財団の理事会は1999年の後、開かれた形跡がないなど実体がなく、財団の支出はトランプ氏が決めていたという。
このほかトランプ氏には10年間、トランプ氏の長男ジュニア氏や長女イバンカ氏、次男エリック氏には1年間、ニューヨーク州内の慈善団体の運営への関与禁止も求めている。
ニューヨーク州のアンダーウッド司法長官は「我々の捜査で明らかになったように、トランプ財団は(トランプ氏らの)小切手帳に過ぎなかった」と批判。連邦法違反の可能性もあるとして、米内国歳入庁(IRS)と連邦選挙委員会に書簡を出したことも明らかにした。
トランプ氏は同日ツイッターで「薄汚れたニューヨークの民主党」による党派的な動きだとして提訴に反発し、争う構えを示した。財団を巡っては、トランプ氏は就任前、大統領の職務との利益相反の印象を与えないためとして解散する意向を表明していた。(ニューヨーク=金成隆一)