道の駅の建設をめぐり、住民監査請求した市民らの個人情報が入った監査結果を漏らしたなどとして、奈良県警は17日、同県葛城市の前副市長、生野吉秀(62)と建設課長補佐、石橋和佳(44)、建設会社役員の茅野(かやの)泰幸(48)の3容疑者を地方公務員法違反の疑いで逮捕し、発表した。県警は3人の認否を明らかにしていない。
同市では、2016年11月に「道の駅かつらぎ」がオープン。建設場所にあった民間施設を移転する補償費を市が当初の1億4168万円から2500万円増額していた。
市監査委員は昨年10月30日、住民監査請求にもとづき、この増額に根拠がなく、不適切な工事もあったとして、前市長や生野容疑者らに総額約3500万円を請求するよう求める監査結果を公表。公表分では監査請求人の氏名や建設工事に関係する法人の名称などが伏せられていた。
捜査2課によると、生野、茅野の両容疑者は昨年8月31日~10月30日ごろ、監査結果を漏らすよう石橋容疑者をそそのかし、石橋容疑者は10月30日、監査請求人の個人情報や、法人の名称が記された監査結果を生野容疑者にファクスで送った疑いがある。
生野容疑者は、入手した監査結果を茅野容疑者にファクスで送ったという。茅野容疑者の会社は道の駅の建設工事に携わっており、同課は、茅野容疑者が監査請求人の氏名や、監査結果が自らの会社の関与にどう言及しているかを知ろうとしたとみている。
市は昨年12月、監査結果を受けて前市長や生野容疑者らに賠償などを求めたほか、今年2月には生野容疑者らを地方公務員法違反容疑などで刑事告発していた。(佐藤栞、根本晃)