大阪北部地震では水道管の破断などに伴う断水や漏水が各地で起きた。全国的に水道管の老朽化が問題になるなか、大阪府は、40年の法定耐用年数を超える水道管(老朽管)の割合が全国で飛び抜けて高い。人口が密集し、水道管がはりめぐらされた都市型の震災では、影響を受ける人が多くなり、改めて課題を浮き彫りにした格好だ。
【タイムライン】大阪北部地震
厚生労働省によると、水道管の破損などによる断水の影響は大阪府高槻市で19・4万人、箕面市で2万人に及んだほか、枚方市、豊中市など大阪府16市町、京都府、兵庫県、奈良県の計13市町で漏水や濁水が発生した。
日本水道協会の統計(2015年度)では、大阪府の老朽管の延長は6890キロ、全水道管に占める割合は28・3%で、いずれも全国ワースト1位。それぞれワースト2位となる愛知県5995キロ、神奈川県21・7%を大きく上回る。大阪府によると、大阪は歴史的に都市化が早く、高度成長期を中心に水道管の敷設が早く進んだためという。
一方、自治体の水道事業が抱える財政難などのため、耐震性を備えた水道管に置き換える更新工事は進んでいない。老朽管は前年に比べて363キロ増えた。
ただ、被害地域を市町村別にみると、大阪市の老朽管率は44・9%と高いが、高槻市(13・9%)、豊中市(25・1%)など比較的低い地域も含まれる。大阪府環境衛生課は「局所的に想定を超える力が加わった可能性もある。原因は各事業体による復旧作業の中でわかるだろうが、耐震化の取り組みは早急に進める必要がある」としている。(嘉幡久敬)
過去の主な震災での断水の戸数(厚労省まとめ)
東日本大震災(2011年、最大震度7)256.7万戸
阪神大震災(1995年、同7)130万戸
熊本地震(2016年、同7) 44.6万戸
駿河湾を震源とする地震(09年、同6弱) 7.5万戸
鳥取県中部地震(16年、同6弱) 1.6万戸
長野県北部地震(14年、同6弱) 1300戸