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「雨漏りでキノコ」防ぐシートの張り方は 被災地で伝授

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屋根にブルーシートを張る石岡博実さん(左端)ら=2018年6月26日、大阪府高槻市


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大阪府北部を震源とする地震で、屋根などの一部損壊が多かった大阪府高槻市や茨木市では、ブルーシートによる応急処置のニーズがなお高い。きちんと張れる職人が懸命の作業を続けているが追いつかず、経験を積んだボランティアによる講習会も開かれている。


特集:大阪北部地震


大阪府吹田市では29日、ボランティアらにブルーシートの張り方を伝授する講習会が開かれ、約20人が参加した。


「これは、私たちが助けられなかった家です」


熊本地震の被災地でも活動した災害ボランティア団体「愛・知・人」の代表で会社員の赤池博美さん(47)=愛知県春日井市=が講師を務め、畳にカビが生えた家の写真を示し、悔しがった。熊本の被災地でブルーシート張りが間に合わず、雨漏りでカビやキノコが発生した家を多く見た。「一部損壊で住める家なのに住めなくなってしまう。泣きながら何とかならないかと訴える住民がいた」


赤池さんが教える張り方は、紫外線に強いUV対応の袋を使った土囊(どのう)とひもでシートを固定し、端を木材に巻き付けて風での舞い上がりを防ぐ。試行錯誤してたどり着いたという。大阪の被災地では、シートを粘着テープで固定した家が多く、気がかりだという。


ブルーシート張りの依頼があって講習を受けたという「相栄建設工業」(吹田市)の工事部長、品川好治さん(65)は「UV対応の土囊袋は知らなかった」と感心していた。


専門職人も活躍中


被災地で活躍しているのは、山梨県大月市の一般社団法人「災害復旧職人派遣協会」の職人集団だ。同市の屋根修繕会社「日本ステンレス工業」と渡辺豊博・都留文科大特任教授(68)が、被災地に素早く職人を送り出そうと昨年1月に立ち上げた。今回は山梨、東京、静岡から延べ120人がボランティアで参加している。


26日午後、高槻市の2階建て店舗兼住宅。屋根にブルーシートを張る作業を1時間半ほどで終え、同社会長で協会代表理事の石岡博実さん(64)は「これでばっちり」と汗をぬぐった。


同社は1995年の阪神大震災以降、新潟、東日本、熊本、鳥取と、被災地に職人をボランティアで派遣してきた。相次ぐ災害対応に1社では限界があり、協会を設立したという。


ブルーシートはひもや土囊(どのう)で固定するのが一般的だが、協会では瓦が大きくずれる被害が目立った熊本での経験を踏まえ、角材で固定する独自の技術を用いる。手間はかかるが、半年から1年は持つという。


協会は企業などの基金をもとに、職人が継続的に活動できるよう8千~1万5千円の日当を支払う。本来は水道や設備工事の職人も、技術を学んで参加している。甲府市の水道工事の職人、保坂清正さん(44)は「高所作業は慣れないが、ネジ止めなどできることがある」と奮闘している。


石岡さんは、屋根の修繕が復旧の大きな一歩と考える。被災者が雨漏りで暮らせず引っ越すと、街が寂れかねないからだ。「雨さえしのげば、安心できる。一戸でも多く修繕したい」。7月中旬まで滞在し、100棟ほどを回る予定だ。(沢木香織、新田哲史)



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