6月30日夜、洞窟内で救助活動をするタイ海軍の兵士たち(タイ海軍提供)
タイ北部チェンライ郊外のタムルアン洞窟で少年ら13人が不明になって1日で8日が過ぎたが、救助は難航している。海外からの支援もあり約2千人が昼夜を徹して捜索しているものの、洞窟内に大量にたまった濁水が行く手を阻んでいる。少年らの家族は現場に泊まり込み、帰還を願っている。
不明になっているのは同じサッカーチームの11~16歳の少年と男性コーチ。6月23日午後、チェンライ中心部から北に約50キロのタムルアン洞窟を訪れ、洞窟内に入ったところ、大雨で水があふれ、出られなくなったとみられている。洞窟の入り口に少年らの自転車が残されていた。
タイ海軍などによると、少年らは洞窟の入り口から数キロ奥にある大きな空洞に避難していると考えられている。軍のダイバーらが夜を徹して捜索しているが、洞窟内のほとんどが10センチ先も見えないほどの濁水で満たされており、1日に200~300メートルずつしか進めていない。ポンプで洞窟内の水を排出しても、雨期による連日の豪雨で水かさがなかなか減らない状態だ。
すでに米軍が救助隊を派遣。英国などの洞窟探検家がボランティアで協力し、日本も国際協力機構(JICA)が農業灌漑(かんがい)の専門家らを送った。1日にはオーストラリア連邦警察のダイバーチームも合流。タイの軍や警察も含めると、2千人近い態勢で救助に当たっている。
洞窟の外から岩盤を砕いたり、別の入り口から捜索したりしており、タイ海軍は「確実に少年らのいる場所に近づいているはずだ」としている。洞窟内で少年らは飲用水を得られているとの期待があり、軍関係者は「少年らの生存を信じている」と話した。
一方、少年らの家族は洞窟近くのテントで子どもたちの帰りを待っている。近くに宿が用意されているが、状況を知りたいとテントの椅子で仮眠をとる親がほとんどだという。長男が不明になった30代の母親は1日、取材に、「昨日が息子の14歳の誕生日だった。本当は祝ってあげたかったが、今は無事でいてくれることだけでいい」と疲れた様子で話した。(チェンライ=染田屋竜太)