西蔵(チベット)自治区にある拉魯湿地は、世界最高の標高と国内最大面積を誇る都市内陸部の天然湿地。この湿地の95%は、沼地の草原に覆われており、極めて貴重な湿地生物の宝庫となっている。面積12.2平方キロメートルに及ぶ湿地には、高等植物332種、陸生野生動物43種、水生野生動物152種、昆虫101種が生息している。
これほど広大な湿地を擁している環境であることから、拉薩(ラサ)市街区の酸素供給力は向上しており、高原における酸素欠乏状態も改善されている。統計データによると、拉魯湿地一帯の夏季酸素含有量は約80%に達し、冬季においても同期の市街地レベルより約10%高い。ラサにおける気候調整、酸素補給、貯水洪水防止、地下水のバランス維持、CO2吸収など各分野で、拉魯湿地は他者が取って代わることができない絶大な効果を発揮していることから、「ラサの肺」と言われている。
拉魯湿地が現在、良好な生態環境に恵まれているのは、長年にわたり継続して、修復と保護事業を展開し続けてきた努力にある。国は、2001年から現在に至るまで、拉魯湿地保護区の一期・二期・三期プロジェクトを次々と展開してきた。その内容は、視界を遮らないフェンスと沈砂地(浮遊物や固体を沈殿除去するための人工池)の建設、拉魯湿地の調査・モニタリング、防護林の建設などに及んでいる。
2008年、湿地のさらなる保護を目的として、ラサ市拉魯湿地国家級自然保護区管理局が設立された。当初の問題だった湿地機能の退化や人為的な破壊は、今までに有効な回復と保護を実現している。10年あまりの間に、拉魯湿地の生態環境には極めて大きな変化が生じた。
拉魯湿地国家級自然保護区管理局の梁剣豫・副局長は、「長年にわたる修復と保護事業が功を奏し、拉魯湿地国家級自然保護区の水域面積は大幅に増加し、平均水位は3センチメートル上昇し、保護区全体に占める水域面積の割合は、管理局設立当時から3分の1拡大、生物多様性が効果的に保護された。2019年、越冬渡り鳥は6種類・1万5千羽まで増加し、湿地で通年生息する鳥類は21種類・約7千羽に達した」と説明した。
今年4月、拉魯湿地は正式に対外的に開放された。梁副局長は、「湿地保護の成果を、是非市民の皆さんと共有したい。また、一般開放を通じて、人々が実際に湿地を訪れて身近に接することで、湿地に対する理解と愛情を深め、いっそう心を込めて保護する気持ちになってくれるよう期待している」と続けた。(編集KM)
「人民網日本語版」2020年12月28日