国税庁は2日、相続税や贈与税の算定基準となる2018年分の路線価(1月1日時点)を公表した。全国平均は前年を0・7%上回り、3年連続で上昇。上げ幅は0・3ポイント拡大した。雇用情勢の改善や、低金利のもとで活発な不動産投資や再開発を追い風に、東京や京都、福岡などの主要都市で上昇が加速。一方、地方圏では下落傾向が続いている。
都道府県別では沖縄が上昇率5・0%でトップ。現在の算定方法になった10年以降で全国最高の上昇率だった。那覇市では観光客の増加や人口増でホテルや店舗の建設が進み、周辺でも地価が上昇傾向という。
沖縄に続き、東京4・0%、宮城3・7%、福岡2・6%、京都2・2%、愛知と広島が1・5%の上昇だった。東京と大阪は5年連続、沖縄と京都は4年連続の上昇で、上げ幅も拡大が続いている。
16年の地震の影響で17年に下落した熊本のほか、滋賀、岡山、佐賀、長崎は、下落または横ばいから今年は上昇に転じた。
一方、29県では下落し、うち青森、兵庫、宮崎など7県は下落幅も拡大した。
都道府県庁がある都市の最高路線価は、上昇が前年の27から33に増えた。東京・銀座の文具店「鳩居堂」前は1平方メートルあたり4432万円で、33年連続で全国最高額だった。
都市未来総合研究所(東京)は「大都市ではマンション需要やオフィス市況が好調で、中心部で地価が高止まりし、周辺に波及している。全体的には地価の上昇傾向が続くだろう」と分析している。(花野雄太)
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〈路線価〉 主要道路に面した1平方メートルあたりの土地の評価額(1月1日時点)。国土交通省が出す公示地価(同)の8割を目安に、売買事例や不動産鑑定士の意見なども参考に国税庁が算出する。今年は約33万1千地点が対象になった。