大阪北部地震後、学校のブロック塀を撤去する動きが相次いでいる=2018年6月25日午前、大阪府高槻市の川西中学校、水野義則撮影
「予算が塀の改修に回らなかった」「基準に合わない塀が見逃されていた」――。大阪北部地震での死亡事故を受けて、全国で進む学校のブロック塀調査。これまで後回しにされてきたブロック塀の安全性確保に向けて、各地で取り組みが動き始めた。
朝日新聞は全国の都道府県教育委員会などに、建築基準法施行令の基準に合わないことが疑われるブロック塀があると確認した小中学校や高校、特別支援学校の数を尋ねた。6月29日までの取材では、少なくとも計2498校となった。大半が目視による点検で、状況把握に乗り出している。
鳥取県や静岡県は基準に合わない塀に加えて、対策が必要と判断した塀も含めて計上。兵庫や岐阜、奈良の各県は公立幼稚園も含む集計だった。
岐阜県では、公私立の計767校中67校が該当。佐賀県ではブロック塀のある県内の公立144校中、65校が該当した。さいたま市は小学校103校のうち半数超の56校の塀で基準不適合が疑われている。市教委の担当者は「古い学校が多く、予算面で改修に手が回らなかったことも一因だ」と説明する。
大阪の被災13市町では、豊中市53校、吹田市45校、茨木市36校、枚方(ひらかた)市31校、守口市16校、高槻市15校など。現段階で府内では200校を超えた。交野(かたの)市は小中学校14校のうち、7割にあたる10校で基準に合わない疑いが生じたため、10校すべてで撤去する方針。担当者は「こんなにあるとは思わなかった。結果的に見逃されていた」と話す。
文部科学省は学校に危険なブロック塀がどれほどあるかをつかんでおらず、今回初めて全国的な調査に乗り出している。
ブロック塀の危険は学校にとどまらない。兵庫県は保育所や障害者施設を含む公共の約1万2千施設のうち、約1割で基準に合わない疑いがあると発表した。国土交通省も全国の自治体に、民間のものを含むすべてのブロック塀の点検を要請している。
大阪府高槻市で登校中に女児(9)が巻き込まれたブロック塀は高さが3・5メートルで控え壁がなく、市は建築基準法に違反していたと認めた。府警は業務上過失致死容疑で捜査している。(渡辺元史、金子元希)