「送り火」で芥川賞を受賞した高橋弘希さん=2018年7月18日午後8時41分、東京都千代田区の帝国ホテル、松本俊撮影
芥川賞・高橋弘希さんの会見一問一答
――今の気持ちを。
気持ちですか? 気持ちは、とりあえず会見やらないとダメと言われたので、引っ張り出されたので、とりあえず頑張っていこうかなと。
第159回芥川賞に高橋弘希さん、直木賞は島本理生さん
悲願18年「ママ1等賞になったよ」 直木賞の島本さん
――作中に、シンバルに似たチャッパという、あまりなじみのない楽器が出てきます。思い入れは?
近所のお祭りで使っているのを見たことがあるので、使った。割と変な音がするんでいいかなと。
――4回目の候補入り。どんな心境だった?
期待は特にしてないですが、普通に待ってました。担当の編集の人といました。
――自身が受賞する期待は?
どうなるかわかんないですからね。どうかねえと。
――自信は?
読んだ人がどう思うかはわかんないんで。作品は、まあいいんじゃないかと思うんですがね。
――受賞の決定の講評の中に、高橋さんの小説が非常に読みにくいという言葉がありました。
読みにくくはないと思う。だいぶん読みやすいと思う。
――「指の骨」から言われていたが、描写がすごく魅力的だと。今回も少年たちの動きのなか、稲、セミなど意識していたのか?
別に意識はしていないですけど、舞台が田舎なんで。場所がどういう感じかは書かないとわかんないんで、自然とそうなった。
――客観的な自然描写のなかに登場人物の心境を込める?
まあ何ですかね。描写は作品内では意味はあると思うんで、象徴しているかどうかはわかんないですが、なるべく意味のある描写を心がけてはいる。
――先ほど「待ってる時は編集者と」と言っていたが、受賞が決まってからの心境は? ガッツポーズしたり?
どうだったかな。とりあえず「8時までには帝国ホテルに来い」と言われたので、うれしいっちゃうれしいけど、ガッツポーズはなかったかな。
――平熱のまま?
うれしいですよ。でも小説ってガッツポーズは出ないですよね。短距離走とかならあるでしょうが。
――昨年、野間新人賞。芥川賞も含めて、文学賞はどういう目安か。
評価されるということなんで、なにかしら受賞できればうれしいといえばうれしい。でも、賞が欲しくて書いている人はいないと思うんで。結果的にはよかった。
――描写の点で、傍観者的な描…