庶民のギャンブルとして親しまれてきたマカオのドッグレース場が、約530頭の犬を場内に放置したまま閉鎖したとして非難されている。マカオ政府は一時的に犬を保護すると共に、運営会社に引き取り先を見つけるよう指示しているが、メドは立っていない。
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レース場を所有するマカオ政府は2年前、契約期限が切れて閉鎖される今月20日までに飼い主を確保するよう運営会社に指示していた。一部は引き取り先が見つかったものの、飼い主探しはうまくいかず、運営会社は閉鎖直前、「犬の管理責任は政府にある」などと主張しだした。マカオ政府は「責任転嫁は許されない」とし、1頭あたり最大10万パタカ(約140万円)の罰金を科す可能性を示している。
レース場に残されているのは、グレーハウンドと呼ばれるレース犬。マカオ政府に手配された獣医師や動物保護団体の関係者が当面、飼育にあたる予定。ただマカオの外に持ち出すには、検疫手続きが必要なほか、家庭での飼育も容易ではなく、引き取り先を見つけるのは難航しそうだ。
運営会社は「マカオのカジノ王」と呼ばれる大富豪のスタンレー・ホー氏がトップを務め、実質的には4番目の妻の梁安琪氏(立法会議員)が経営を担っている。ホー氏はかつてマカオの政財界に強い影響力があったとされる。だが、96歳と高齢で近年は表舞台から遠ざかっている。マカオ政府から公然と非難される事態は、力の衰えを象徴しているとも言えそうだ。
マカオのドッグレースは1931年に開始。カジノ人気におされて収入が激減したうえ、動物保護団体から虐待との指摘も受け、厳しい経営環境に陥っていた。(広州=益満雄一郎)