パキスタン下院(定数342)の任期満了に伴う総選挙は25日午後、投票が締め切られ、開票作業が始まった。26日にも大勢が判明する見通し。約8万5千カ所の投票所は軍や警察約75万人が厳重に警戒したが、投票所を狙った攻撃が相次ぎ、有権者ら計32人が死亡した。
国営ラジオによると、パキスタン西部クエッタ郊外の投票所前で25日午前、爆発が起き、31人が死亡、70人が負傷した。男が投票所に近づいて自爆したという。過激派組織「イスラム国」(IS)が系列のアマク通信を通じて犯行声明を出した。
他にも南部ラルカナの爆発や北西部スワビなど各地の銃撃で、1人が死亡、多数が負傷した。
選挙に絡む事件は、投票前日までに少なくとも15件起き、死者は180人を超えている。政情の不安定化を狙ったISなどの武装勢力の攻撃が目立つ。
世論調査によると、解散前に下院の過半数を占めていた与党「イスラム教徒連盟シャリフ派(PML―N)」の支持が陰る一方、若者に人気の野党第2党「正義運動(PTI)」の躍進が予想される。野党勢力がどれだけ議席を伸ばすか注目される。
PTIのイムラン・カーン党首は投票後、自身のツイッターで「テロリストに打ち勝つために団結して投票しよう」と呼びかけた。イムラン氏はクリケットの元スター選手で805万人のフォロワーを持つ。
軍から圧力を受ける与党もSNSで犠牲者を追悼。投票目前に収監されたシャリフ元首相が獄中で「投票で現状を覆す時だ」と訴える音声をネットで公表した。
日本や欧州の監視団は投票所や集票所を分担し、票の水増しなど不正がないかを見て回った。(イスラマバード=乗京真知)