所得が公的年金や恩給だけの高齢者世帯が5割超にのぼることが、厚生労働省が2日公表した国民生活基礎調査で分かった。生活が「苦しい」とする世帯が0・9ポイント増え、55・1%を占めた。金融庁審議会の報告書は、公的年金だけでは老後の生活費が不足すると指摘したが、年金で家計を支える高齢者が多い可能性が改めて浮き彫りになった。
昨年6~7月に約6万世帯を対象に調査(有効回答74%)、所得はうち約9千世帯に尋ねた(同73%)。
高齢者世帯は、65歳以上だけか、18歳未満の未婚者と一緒に暮らす世帯。2017年の平均所得は334万9千円で、前年より16万3千円(5・1%)増えた。増えた理由について、担当者は「働く高齢者が増えたため」としている。金額に占める割合は、「公的年金・(旧軍人の遺族らに支払われる)恩給」が61・1%で最も多かったが、前年より5・2ポイント減少。働いて得る「稼働所得」が25・4%で同3・1ポイント増えた。
一方、世帯ベースでは、公的年金・恩給が所得に占める割合が「100%」と答えた高齢者世帯が51・1%(前年比1・1ポイント減)で最多。「60~80%未満」が13・4%(同0・1ポイント減)で続いた。今回の調査では預貯金は調べていないが、利子が年5千円以下なら公的年金・恩給で「100%」に区分されるため、年金しか所得がない場合も、厚労省は「預貯金がないとは言い切れない」と説明している。
調査した全世帯の平均所得は551万6千円で、前年より8万6千円(1・5%)減った。生活が「苦しい」と答えたのは1・9ポイント増の57・7%だった。昨年6月7日現在の世帯総数は5099万1千世帯。このうち高齢者世帯は1406万3千世帯(27・6%)で、世帯数も割合も過去最高だった。(西村圭史)