若年で発症することが多い「1型糖尿病」の患者9人に対する障害基礎年金の支給を国が打ち切ったことをめぐり、患者9人が3日、大阪地裁が処分を取り消したのに国が改めて支給停止処分にしたのは不当だとして、再び処分取り消しを求める訴えを起こした。
9人は大阪府、奈良県、福島県に住む20~50代の男女。訴状によると、9人は未成年の時に1型糖尿病を発症。成人後に障害基礎年金を申請し、「日常生活に著しい制限を受ける」状態である障害等級2級と認定されて年金を受給していたが、国は2016年までに障害等級3級に改善したとして支給を停止した。
大阪地裁は今年4月、支給停止は重大な不利益処分なのに理由を示しておらず、行政手続法に違反しているとして処分を取り消す判決を言い渡した。だが、厚生労働省は判決確定後の5月10日、再び支給停止処分を9人に通知。原告側は「2級から3級になったことへの説明が今回も不十分。症状は受給時と変わっていない」と訴えている。
提訴後に会見した原告の滝谷香さん(37)=大阪府岸和田市=は「(再び不支給とした)通知を受けた時は裁判をした意味がなかったと思い、ショックだった。国は困っている人に目を向けてほしい」と語った。厚労省は「訴状が届いていないのでコメントを差し控えたい」としている。(米田優人)