麻酔を使って出産時の痛みを和らげる無痛分娩(ぶんべん)で事故に遭った被害者の家族が8日、被害者の会を立ち上げた。代表の安東雄志さん(70)=大阪府富田林市=と大学教授の男性(57)=京都市=が大阪府富田林市で記者会見し、安全対策の法整備などを目指す考えを明らかにした。
妻は寝たきりに、長女も失う 無痛分娩事故、家族の思い
会では、出産に携わる医師・看護師に対する麻酔と救急蘇生の講習会受講などの義務化や、無痛分娩を実施できる医師の認定制度の実現を、署名活動などを通じて求めていく。被害者が体験を語り合う勉強会などの場も設けるという。厚生労働省は昨年3月に講習会の受講などを提言しているが、法的拘束力はないという。
会見で、娘の長村千恵さん(当時31)を無痛分娩の事故で亡くした安東さんは「娘は帰ってきませんが、1人でも事故に遭う人をなくしたい」と話した。ロシア国籍の妻エブセエバ・エレナさん(42)が寝たきりになり、帝王切開で生まれた6歳の娘を昨年12月に亡くした男性は「できれば事故前に戻してほしい。難しいならば、せめて同じ事故を繰り返さないでほしい」と語った。
会への参加希望や問い合わせは、会のメールアドレス(mutuubunben.jiko@gmail.com)まで。(多鹿ちなみ)