(27日、プロ野球 巨人5-0中日)
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まるで、高校野球で夏の甲子園出場を決めたチームのような歓喜の輪ができた。九回2死。ここまで1本の安打も許していない巨人の山口俊が、大島を一ゴロに仕留めた。一塁ベースカバーのために走った山口俊のそばに、次々と仲間が駆け寄る。抱き合ったり、タッチを交わしたりして、喜びを分かち合った。
快挙を意識し始めたのは「六回が終わったぐらい」。六回まで走者を1人も許さない完全試合ペース。「野球をやっている以上、ノーヒットノーランや完全試合を目標にして、マウンドへ上がっている」と山口俊は言う。
意識は力みにつながった。七回の先頭に四球。「完全試合を考えると、四球も出せない。かといって甘くなって打たれると、ノーヒットノーランもなくなる。心理的なところ」と自己分析。その後、1死三塁となり、マギーが三ゴロを本塁でアウトにしてくれたことで「流れがあるな」と感じた。
DeNAから移籍した昨季は、右肩痛で出遅れた。7月には酒に酔って暴れる不祥事を起こし、残りのシーズンを棒に振った。「迷惑をかけた」という思いが強く、今年は「言われたところで、投げるだけ」と繰り返す。
前半戦は長野や宇都宮といった地方での試合で4度投げ、3勝。エース菅野が広島戦に回るために登板間隔を延ばすと、中5日も引き受けた。
昨季は唯一の勝ち星が、先発して継投での無安打無得点試合だった山口俊。涙に暮れたお立ち台から、約1年。今度は1人で投げきった。目標にしてきた大記録だが、達成してみると「意外と実感がないですね」。笑って言った。(井上翔太)