２０１６年の米大統領選にロシアが介入したとされる「ロシア疑惑」をめぐり、選挙中にトランプ陣営の幹部とロシア人弁護士との面会を、トランプ大統領が事前に承認していたと米メディアが２６日、報じた。ロシア疑惑を追及するマラー特別検察官の捜査で、ロシアとトランプ陣営による共謀の有無を解く、大きなカギとなる可能性がある。

トランプ氏の長男ジュニア氏や娘婿のクシュナー氏、選対本部長だったマナフォート氏らは１６年６月、ロシア政府に近いロシア人女性弁護士から、民主党候補だったヒラリー・クリントン氏にとって不利な情報を提供したいと聞かされ、ニューヨークのトランプタワーで極秘に面会した。

トランプ氏は昨年７月、この面会が表沙汰になると「まったく知らなかった」などと主張していた。

ところが、米メディアによると、トランプ氏の個人弁護士を務めていたマイケル・コーエン氏が、トランプ氏がジュニア氏から面会の内容について事前に知らされ、承認したと主張した。マラー氏にも事情を説明する用意があるという。

これに対し、トランプ氏は２７日、ツイッターで「息子の面会については知らなかった。誰かが作り話をでっち上げているようだ」と報道を否定した。

トランプ氏の懐刀として知られていたコーエン氏は大統領選中、トランプ氏とかつて不倫関係だったと主張する元モデルに「口止め料」を払ったとされる。トランプ氏は元モデルとの関係を否定したが、ＣＮＮが２４日、コーエン氏がトランプ氏と口止め料などについて話した通話を録音していたと報道。トランプ氏が「前代未聞だ」と批判するなど泥仕合となっている。

米連邦捜査局（ＦＢＩ）は今年４月、選挙資金を流用した疑いなどでコーエン氏の事務所などを家宅捜索している。（ワシントン＝土佐茂生）