(28日、中日4―0巨人)
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八回を投げ終え、123球。中日の小笠原は、朝倉投手コーチとの話し合いを終え、ほどなくして三塁ベンチ前でキャッチボールを始めた。九回もマウンドに向かう――。固い意志が表れた瞬間だった。
最終回は「内角を突いていく」という捕手との約束を貫いた。巨人の中軸を強気に攻める。1死から岡本を懐への141キロで見逃し三振。最後の打者・長野も速球で押し込み、右飛に抑えた。プロ初完封に第一声は「ホッとしています」。
気が強く、負けず嫌い。仲間とゲームセンターに行ったときは、UFOキャッチャーで取ったぬいぐるみの数を張り合うほど。景品が欲しいのでなく、勝ちたい。そのため、神奈川・東海大相模高時代の仲間の自宅には、左腕が獲得したぬいぐるみが置かれている。
この日、投げ合ったのは同じ高校の8学年上・菅野だった。「偉大な先輩」を「意識はしていなかった」そうだが「ロースコアになるとは思っていた」。先輩は8回4失点で降板したのに対し、自身は三回以降、被安打ゼロ。不利なカウントからも立て直し、結果でも、内容でも上回った。
2015年夏の甲子園で優勝投手となり、ドラフト1位で入団。3年目の今季は開幕投手を務めた。森監督は「今までは6回を投げるのがやっと。乗り越えて一人前の投手になる」。エースになるための登竜門をくぐったと言えそうだ。(井上翔太)