猛暑が続く東海地方で、メーカー各社が工場での熱中症予防に本腰を入れている。休憩回数を増やしたり、作業の服装を変えたりと、さまざまな工夫で暑さをしのぐ。
「20年以上やってきて、こんな暑さは初めてだ」
ガス機器大手パロマの大口工場(愛知県大口町)。アルミを680度の高温で溶かして金型に流し込み、コンロや給湯器の部品をつくる工程を束ねる森誠一さん(44)は話す。工場棟の内部は熱気が漂い、今夏は45度を超えた日もある。
この工程では今夏、従来の2時間ごとの休憩に加え1時間おきに「水分補給タイム」を設けた。冷蔵庫も置き、スポーツドリンクを毎日1人2本支給する。工場長の九木田修さん(50)は「熱中症患者を出さないよう声かけしている」。
近くにあるリンナイの大口工場では昨年、腰部分についた扇風機から風を取り込んで体温を下げられる「空調服」をとりいれた。工場内は空調機器を更新したばかりで比較的涼しいが、熱が発生する工程や屋外での作業もあるためだ。
部品を運ぶフォークリフトを運転する高松浩次さん(44)は、この夏から空調服を着始めた。「汗をかく量が減った。今年の暑さは異常だが、これで何とか乗り切れそう」と話す。
ブラザー工業の子会社で、減速機などをつくるニッセイ(愛知県安城市)は7月、暑さが厳しい職場で作業服の代わりに着られるポロシャツを支給した。愛知製鋼では6月から、社員食堂にごま塩やふりかけを用意し、汗で失った塩分を補給してもらっている。
愛知労働局によると、愛知県内で昨年、就労中に起きた熱中症は計407件。今年はさらに増えるおそれもあり、企業などに注意を呼びかけている。(竹山栄太郎)