韓国の釜山警察庁は1日、輸入が禁止されている鯨肉を日本から密輸し、国内で販売したとして水産物卸売業者の韓国人の男ら18人を関税法違反などの容疑で書類送検したと発表した。韓国にも鯨肉を食べる食文化があるが、日本では韓国より安く鯨肉を入手できることに目を付けていたという。
同庁によると、男らは昨年4月から今年5月にかけて、日本で買い求めた鯨肉約2トン(時価約3億ウォン、日本円換算で約3千万円)をサメ肉と偽って航空便などで密輸し、南東部の蔚山や釜山の専門店で販売した疑いが持たれている。サメ肉は一見して鯨肉と見分けがつかないため、税関の検査を通ったという。
韓国はかつて蔚山を中心に捕鯨が盛んだったが、1986年に国際捕鯨委員会(IWC)の決定に沿って商業捕鯨を中断。日本と違って調査捕鯨は認められておらず、原則として網にかかるなど自然死した鯨の肉しか市場に流通していない。このため同庁によると、1キロあたりの価格は韓国では18万~30万ウォンに対し、日本は4万~7万ウォンと差があるという。
警察は鯨肉を研究機関に持ち込んでDNA鑑定を依頼。南極周辺のミンククジラの肉だと判明し、摘発に踏み切ったという。(ソウル=武田肇)