三菱UFJ信託銀行が、新規の融資業務から撤退することが明らかになった。すでに法人融資をグループの三菱UFJ銀行に移管したのに加え、10月からアパートローンなどの個人向け新規融資もやめて移管する。低金利下で融資業務の収益環境が厳しい中、経営資源を相続や年金など、強みの信託業務に特化する。
10月から、土地所有者がアパートなどを建てる際に借り入れるなどのアパートローンの新規融資をやめる。顧客には代わりに三菱UFJ銀を紹介する。すでに融資している残高約1600億円(3月末時点)は三菱UFJ銀に移す。顧客3400人の契約も同行が引きつぐ。
三菱UFJ信託銀は今年4月に中核業務とされてきた法人融資部門を三菱UFJ銀に移管。法人融資担当者の約7割にあたる約160人が出向で移った。
個人向けでも住宅ローンの新規融資を今春に停止。1・2兆円(3月末時点)の融資残高の管理のみ手がけている。今回の決定で、一部のファンド向け融資や提携先企業の従業員向け融資などを除けば、新規の融資業務から全面的に撤退することになる。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)は近年、低金利で収益環境が厳しくなるなか、それぞれの強みを生かすグループ内での再編を進めている。
日本の信託銀行は、収益を「本業」の信託よりも融資業務に頼りがちだったとの指摘もある。先行する三菱UFJFGの取り組みが、他グループに影響を与える可能性もある。(柴田秀並)