シャープは、国内生産体制を見直す。年内に栃木工場(栃木県矢板市)のテレビ生産を、来年度中には八尾工場(大阪府八尾市)の冷蔵庫生産を打ち切る。国内生産は、液晶パネルや半導体などの部品が大半になる。
栃木工場では、テレビの開発や試作、次世代テレビの「4K」「8K」の組み立てを行っていた。これらを中国やマレーシアなど海外か亀山工場(三重県亀山市)に移し、物流や保守サービスの拠点にする。
従業員約660人が勤務しているが、研究開発職は堺市や千葉県などの拠点に異動させる。生産ラインで働く従業員は国内の別の工場に配置転換する。
亀山工場では、液晶パネル生産とテレビの組み立てを、当面維持する。昨年3月には国内でのテレビの組み立てから撤退する方針を示していたが、コストの見直しなどで維持できるか、引き続き検討している。国内では現在、2工場で年間数十万台を生産している。
一方、八尾工場の冷蔵庫生産は、タイに移す。現在は、国内販売分として、年20万~30万台つくっている。洗濯機やエアコン、電子レンジなどの生産はすでにやめており、今後は業務用照明の生産や、白物家電の研究開発拠点とする。
八尾工場で働く約1600人の従業員の大半は、別の工場に配置転換する。
白物家電の生産は、人件費が安い海外に順次、移してきた。ただ、冷蔵庫は重くかさばるため、物流コストを考慮して、国内生産を続けていた。アジアに物流網を築いている鴻海精密工業(台湾)の傘下に入ったことで、物流コストを抑えるめどが立った。これにより、シャープの国内での白物家電の生産は、ほとんどなくなる。
シャープは鴻海の傘下入り後、国内工場の再編に取り組んできた。電子部品をつくる三原工場(広島県三原市)は近くの福山工場(同県福山市)に集約。スマートフォンをつくっていた広島工場(同県東広島市)は縮小し、商品開発拠点となった。家電生産は海外に移し、国内は研究開発や、液晶パネル、半導体など付加価値の高い部品生産に集中する。(岩沢志気)