官民ファンド「海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)」の北川直樹社長ら新経営陣が、都内で記者会見した。ファンドの非効率な運営が指摘されるなか、2013年の設立からこれまでの投資案件を再検証していると表明し、「より高い精度の投資を行う」と強調した。ただ、数値目標やめやすなどは明示しなかった。
同機構は計29件に約620億円を投じてきたが、18年3月期決算では39億円の純損失を計上。出資を終えた案件には、赤字を垂れ流して失敗した事業が含まれるなど、非効率な経営が問題視されている。
北川社長は民間では負えないリスクの高い案件に引き続き投資していくと強調。一方で「会社なので、損益バランスは重要だ」とし、今後は投資全体での平均の目標達成度を公表するとした。
官民ファンドを巡っては、会計検査院が今年4月に14ファンドの検査結果を公表。17年3月末時点で6ファンドが投資や融資をした金額に見合うお金の回収が見込めず、実質的な損失を抱えているとされた。
また、政府は官民ファンドの一つの産業革新機構を持ち株会社化して、クールジャパン機構など複数のファンドをぶら下げる方向で検討している。(西山明宏)