東芝が、経営破綻(はたん)した米原発メーカー「ウェスチングハウス(WH)」の関連資産の売却を7月末ですべて終えた。2006年に買収してから12年。計1・4兆円もの巨額損失につながったWHとの関係に区切りをつけた。だが「呪縛」はなお解けず、今後の再建の足かせになっている。
7月31日は、東芝にとって一つの節目となった。同社が保有する、WHグループの英国企業の全株式を、カナダ系投資ファンドに売る手続きが終了。4月に売却済みのWH本体分も含めた売却額は、わずか計1ドル(約112円)だった。
これで東芝が保有していたWHの資産は、いずれも売却が完了した。WHの資金管理会社と関連債権は、すでに米国の投資会社に約2500億円で売却した。
06年のWHの買収は、西田厚聡社長(当時)が主導し、相場の倍以上とされる約6千億円を投じた。海外での原発建設を中核事業に育てる計画だった。
11年の東京電力福島第一原発事故後も、その姿勢を変えなかった。だが、原発の需要は世界的に縮小し、安全基準の強化で建設費も高騰した。独立心の強いWH経営陣も統制しきれず、損失がふくらんだ。
結局、WHは昨年3月に経営破綻(はたん)。東芝は巨額損失の穴埋めのため、高収益の半導体メモリー事業売却を余儀なくされた。
東芝はこの失敗を教訓に、経営の進め方を根本から見直した。
リスクの大きい海外での原発建…