栃木県今市市(現・日光市)の小学1年の女児が殺害され、茨城県の山中で見つかって13年近く。東京高裁は3日、一審に続いて勝又拓哉被告(36)に無期懲役の判決を言い渡した。幼い命が奪われた地域では今も、保護者らが児童の登下校で警戒を続ける。無罪を訴えてきた被告は法廷で、動揺した表情を浮かべた。
栃木の女児殺害、二審も無期懲役判決 13年前の事件
「原判決を破棄する」。冒頭、藤井敏明裁判長が告げると、廷内で勝又被告の支援者らから「やった!」と歓声が上がった。しかし、直後に「被告を無期懲役に処する」という声が響くと、「え?」「は?」という戸惑いに変わった。勝又被告は証言台から傍聴席を振り返り、驚きの表情をみせ、戸惑っている様子だった。理由の読み上げが始まり、被告人席に戻ってからも、身を乗り出して裁判長を凝視し続けた。
勝又被告は先月、支援者向けに「判決を期待と不安で待っています。弁論要旨を読んでもらえれば私の無実は動かしがたい事実と分かるはずです」と文書でメッセージを出していた。同時に、控訴審では自分の発言の機会が少なかったことに触れ、「もっと自分の無実を裁判官に訴えたかったです」と書いていた。
勝又被告の母親(59)も無罪を信じ、法廷に通った。息子が2014年に逮捕されてから、初めて会ったのは一審判決後の16年4月中旬だったという。久しぶりに見た息子は全身を震わせ、1点だけを見つめて、会話にならなかった。「会えた喜びより、ショックを受けた」という。面会を重ねて、普通に話せるようになってきたが「心に傷を負い、普通の人間でなくなっていた。会えない間に何をされたのか」と振り返る。(若井琢水、杉浦幹治)
■支援者は…