東京電力ホールディングスの小早川智明社長は2日、柏崎刈羽原発が立地する新潟県柏崎市で桜井雅浩市長と会談し、市長が求める1~5号機の廃炉計画の策定について「社内的な検討をしている。様々な観点を踏まえてしっかりと対応したい」と述べた。小早川氏が廃炉計画を検討する考えを明言したのは初めてで、来年6月までに回答する方針。
東電は、6、7号機の再稼働を目指しており、廃炉計画の策定で地元の理解を得たい考えだ。ただ、会談後、小早川氏は記者団に1基も廃炉にせず、7基すべての再稼働をめざす選択肢も残されている、との認識も示した。
昨年12月、柏崎刈羽6、7号機が新規制基準の主要審査を通過し、再稼働に向けた地元同意が焦点となっている。桜井市長は昨年6月に6、7号機の再稼働を認める条件として、1~5号機の廃炉計画を2年以内に示すよう東電に求める考えを表明。「全7基が再稼働している姿は私の頭の中にはない」と、いずれかの廃炉を望む姿勢を示す。
会談後、小早川氏は記者団に「来年6月までに何らかの提案を、市長に直接回答したい」と述べる一方、「市長も直ちに廃炉せよとは言っていない。当社として電源構成を整理して検討する」などと話した。現段階では何も決まっておらず、「あらゆる選択肢がある」との認識を示した。
1~5号機のうち1号機は運転開始から間もなく33年を迎え、原則40年の運転期間が近づく。2~4号機は2007年の新潟県中越沖地震以降、動いていない。一方で東電の新再建計画では、福島第一原発の事故対応費を賄うため、6、7号機を19年度にも再稼働させ、残る5基も段階的に動かす想定だ。
小早川社長はこの日、新潟県庁で6月に初当選した花角英世知事と初会談した。6、7号機の再稼働をめぐり、花角知事は「県民の理解促進につながると思うので、しっかりと検証作業を進めたい」と述べ、前知事が進めていた県独自の福島第一原発事故の検証作業を続け、終えた後に同意するか判断する考えを伝えた。小早川氏は「検証作業は私どもにとっても地元の理解を得るために重要と考えており、引き続き最大限に協力したい」と話した。花角知事は会談後、「(検証作業の)おしりは切らない。議論を尽くして熟議してもらいたい」と記者団に述べた。(渥美好司、高木真也、桜井林太郎)