液晶パネル大手、ジャパンディスプレイ(JDI)は1日、液晶パネルを活用した室内ドアを開発し、2019年度から売り出すと発表した。スマホ向けの液晶が売り上げの大半を占める中、消費者が直接使う製品を開発することで、パネルの供給先の多様化を狙う。
ドア専業の神谷コーポレーション湘南(神奈川県伊勢原市)と、共同で開発した。ドアに液晶パネルを使い、通常時は鏡として利用できるが、音声操作によって天気予報やスケジュールなどを表示できるディスプレーに切り替わる商品だ。カメラを内蔵しており、撮影した画像を数秒遅れで映すこともできるため、後ろ姿や髪形などのチェックにも役に立つという。
このほか、透明度の高いディスプレーを装着したヘルメットなども開発。レーシングドライバーによるテスト走行実験では、ディスプレーにレースのラップタイムやタイヤの空気圧などを表示したという。
JDIは主力とするスマホ向けパネルが不振で、18年3月期まで4年連続の赤字。従業員を3割弱減らすといった経営再建を進めている。スマホ向けの売上高が全体の約8割を占めるなどスマホメーカーに振り回されてきたが、自動車向けディスプレーに注力するなど販売先の多角化を目指している。ドアなどへのパネルの活用は対策の一環で、JDIの伊藤嘉明常務は「様々な可能性を探りたい」と話す。(北川慧一)