中国電力は10日、建設中の島根原発3号機(松江市、出力137万3千キロワット)の稼働に必要な審査を国の原子力規制委員会に申請した。同機は2011年の東日本大震災前にほぼ完成し、新規稼働をしていない。今後の手続きの進み方にもよるが、大震災後初めての「新設原発」となる可能性が高い。
島根原発3号機、地元手続き開始 震災後初新設になるか
中国電の北野立夫常務執行役員が同日午前、規制委に審査書類を提出した。北野氏は「燃料費(削減の)メリットがあり、原子力の稼働は経営にとってプラスになる。できるだけ早く稼働させたい」と意欲を示した。
震災時に建設中だった原発の審査の申請は、Jパワー(電源開発)の大間原発(青森県大間町)に続いて2例目。ただ、大間原発は本体工事に5年ほどかかる見込みなのに対し、島根3号機は本体がほぼ完成している。震災後の新規制基準を満たすための安全対策工事も先回りして進めており、19年4~9月に終わる予定だ。実際の稼働では先行する可能性が高い。
中国電は申請にあたって島根県や松江市に事前の同意を求め、9日までに了承を得ていた。規制委は今後、敷地の地質構造や地震・津波の対策、原子炉設備の安全性などについて審査する。同じ敷地にある島根2号機(82万キロワット)では地質や地震の審査がすでに終わっており、3号機の審査の期間はその分、短くなりそうだ。
島根3号機は、震災で事故を起こした東京電力の福島第一原発(福島県)と同じ沸騰水型(BWR)の改良型炉。国内で唯一、都道府県庁所在地にあって30キロ圏内に約47万人が住み、事故時の避難計画などにも課題がある。(西尾邦明、川田俊男)