(15日、プロ野球 ソフトバンク6-3楽天)
右翼席へ伸びる打球の行方を見届け、右拳を突き上げた。1点を追う二回無死一塁。高めの速球が続いた後の4球目。ソフトバンクの長谷川勇がチェンジアップを重心を左足に残しながら、右足で踏ん張って仕留める。「体がうまく反応した」逆転の3号2ラン。打撃職人の一振りで、試合の流れをたぐり寄せた。
試合前練習中に体調不良を訴えた内川に代わり、急きょ決まった9試合ぶりの先発。第1打席で技ありのアーチをかけると、今度は六回の第3打席で右翼テラス席へだめ押し弾。今季2度目の1試合2本塁打で計4打点の荒稼ぎだ。
かつては首位打者などに輝いた33歳。だが、昨季の出場23試合、打率2割1分6厘はともにプロ入り最低にとどまった。復活をかけ、オフに右足首の2度目の手術を決断した。2014年に手術した患部は固まって可動域が狭まり、朝起きて自宅の階段を下りるのも苦労するほどだった。
「イメージ通りに踏み込めなくて、技術でカバーしきれず苦しかった」。右足首に4カ所の穴を開けて再手術。ここまで主に代打起用ながら打率3割台と好調を維持していた。「常に崖っぷちと思って(打席で)感覚を研ぎ澄ませている。(今日も)体に任せてぶった切る、と思っていけた」
これでチームは6月24日以来の3連勝だ。首位追走へ負けられない状況の中、経験豊富なベテランのバットがチームを勢いづけた。(甲斐弘史)